保安院 海への汚染水 ゼロ扱い
【東京新聞:2011/12/16】
福島第一原発事故で、何度も放射性物質を含む汚染水が海に漏出したが、経済産業省原子力安全・保安院は「緊急事態」を理由に、法的には流出量は「ゼロ」と扱ってきたことが本紙の取材で分かった。今後、漏出や意図的な放出があってもゼロ扱いするという。政府は十六日に「冷温停止状態」を宣言する予定だが、重要な条件である放射性物質の放出抑制をないがしろにするような姿勢は疑念を持たれる。
原子炉等規制法により、電力事業者は、原発ごとに海に出る放射性物質の上限量を定めるよう決められている(総量規制)。福島第一の場合、セシウムなどは年間二二〇〇億ベクレルで、年度が変わるとゼロから計算される。
しかし、四月二日に2号機取水口近くで高濃度汚染水が漏出しているのが見つかり、同四日には汚染水の保管場所を確保するため、東京電力は建屋内のタンクに入っていた低濃度汚染水を意図的に海洋に放出した。
これら二件の漏出と放出だけで、原発外に出た放射性物質の総量は四七〇〇兆ベクレル(東電の試算)に達し、既に上限値の二万倍を超える。
試算に対しては、国内外の研究機関から「過小評価」との異論も出ている。
今月四日には、処理済みの汚染水を蒸発濃縮させる装置から、二六〇億ベクレルの放射性ストロンチウムを含む水が海に漏れ出した。
さらには、敷地内に設置した処理水タンクが来年前半にも満杯になる見込み。この水にもストロンチウムが含まれている。東電はできるだけ浄化して海洋放出することを検討している。漁業団体の抗議を受け、当面は放出を見送る方針だ。
保安院は本紙の取材に対し、事故への対応が最優先で、福島第一は損傷で漏出を止められる状態にない「緊急事態」だった点を強調し、総量規制を適用せず、四七〇〇兆ベクレルの漏出をゼロ扱いする理由を説明した。
「緊急事態」に伴う特例扱いは「事故収束まで」続くとも説明したが、具体的な期間は「これからの議論」とあいまい。
今後、仮に放射性物質を含んだ処理水を放出したとしても、ゼロ扱いを続けるという。(記事終わり)
記事リンク
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011121690070643.html
『原子力安全・保安院とは(ホームページより)』
原子力安全・保安院は、国民生活や産業活動に欠かせないエネルギー施設や産業活動の安全確保を使命とする組織です。事故・トラブルの未然防止、万一の事故への迅速で的確な対応、事故の再発防止に徹底的に取り組みます。
残念ながら実際に事故は起こりました。
事故を想定している原子力安全・保安院の存在意義が上記の内容であることをみすから公表しております。度合いは別にしても原子力発電所の事故で緊急事態でないものなんてあるのでしょうか?
故意に事故を起こすことは考えられず、ヒューマンエラーであったり機器の故障であったりと事故の発生は様々です。
もともと原子力発電所は地震を想定して建設されておりますが、今回の東日本大震災は想定以上の地震と津波により起こりったことは明白の事実です。
本来であれば、予想をはるかに超える想定外の天然災害により事故が発生し、多くの放射能に汚染された水が海に流出し、その流量は「○○○㏜」となり、今後の対策としては…という風に事故の再発防止を取り組むべき組織ではないでしょうか?
国というおおやけの機関が、「緊急事態」という言葉で汚染水は流出しておりませんと公表してることすら緊急事態です。なんら責任を果たしておりません。
本当に狂っております。
しかも、これは税金で成り立っている訳で国民に対してどのように言い訳するのでしょうか?
国の正式な機関であることは、民間に対して指導や方向性を示すべき立場です。その立場の者が最初から間違った方向性を示せば早く対策を組めるものをこの一事で以て、また他の足をひっぱ入り、対策が遅れることとなり、他国へ迷惑をかけ、水産業者に対して悪影響を及ぼし、原発の近隣住民に震災ではない人災を与えてしまうことになぜ気付かないのでしょうか?
こんな狂っている機関が原子力安全・保安を言っているのであれば、到底原子力発電所の輸出などありえません。
日本の国難もここまできました。