天職(てんしょく)
天職(てんしょく)という言葉。
だいぶ聞きなれない方も多いかもしれません。
天職…天から授かった職業。また、その人の天性に最も合った職業。(辞書より)
自分に会った職業に就いている方々はどれだけいるのか?
平成24年3月にまとめられた完全失業者数は、総務省統計局の集計によりますと
315万人で、4.6%だそうです。
職に就けない方だけで、315万人もいるそうです。
また、日本の産業構造は下図のように推移しております。
(総務省統計局ホームページより)
平成17年には、農業・水産業に携わる第1次産業の人口は全体の5%にまで下がりました。
製造業である第2次産業も減少傾向にあり、サービス業が全体の約7割をしめております。
日本の食料自給率は40%と言われ、就農家の高齢化が進みますます自給率は低下すると予測されております。
人の営みそのものは、昔も今も変わらないと以前お聞きしたことがあります。
人が生きて行く上に於いて必要なものが不足し、ぜいたく品(言い方が正しいとは思いませんが)が増えている現在、自分に向いている仕事を改めて探してみることは難しいかもしれません。
しかし…
天職についてこんな逸話があります。
幕末、官軍(薩摩・長州・土佐・肥前)と幕府軍が日本列島各地で戦争をしておりました(戊辰戦争)。
官軍が東海道を上りこれから江戸へ攻め入ろうとしている時、江戸庶民は大きな混乱を迎えようとしておりました。
西郷隆盛と勝海舟が話し合いによって、江戸無血開城されたのは後世が知ることですが、混乱する江戸庶民を慰撫した偉人がおりました。
それは山岡鉄舟
ある大工が山岡鉄舟に聞いたそうです。
「官軍が江戸に攻めてくると聞いたがどうしたらよいか?」
山岡鉄舟は答えました。
「で〜くはで〜くの仕事をすりゃ〜いいんだ」と。
山岡鉄舟が言うことならばと、その大工は落ち着いたそうです。
最後の宮大工と言われている西岡常一さんは祖父の常吉さんに次のように教わったそうです。
「本と相談して米作りするのではなく、稲と話し合いしないと稲は育たない。大工もその通りで、木と話し合いをしないと本当の大工になれない。」
職人の仕事は自然との会話をすることを、他の職人にもお聞きしたことがありますがそれは一長一短でできないことで、長年の修行が実を結び、その中で培われてくるものだと思います。
個々がそれぞれ持っている本分を人生の中で見出し、それを生かせるか。それが誠心館・館員のそれぞれの課題でもあります。
それには、自然と共存することが一番近道かもしれませんね。